くれなゐ塾の理念

21世紀、私たちの仕事も専門化の傾向を深めながら奔流の勢いで変わろうとしている。しかし、新しきを求めるだけでなく、地道な研究者と、卓越した臨床家による検証を受け、洗練された歯科医療が求められている。しかし、そこの角を曲がったら成功が待ち受けている訳ではない。 敷石を一枚一枚剥がしていく様な努力が必要である。同時に、見ただけや、知っているだけでなく、自ら考えて、実行し、その経過を追う力も強く問われている。将来の可能性を探ることと、現実の臨床を混同してはならない。日常の臨床は最先端ではなく最前線であろう。一部の、検証と時間の洗礼を受けていない “ 発表のための “ 発表に惑わされると、自らの立脚点を見失ってしまう。

全身は一つのシステムである。系統発生による、骨格、筋、靭帯などの構造と、ヒトとしての思惟と感性を司る脳神経系により、咀嚼器官は生命維持に加えて、心にも大きな意味を持っている。このセミナーでは、時間をかけて成熟した咬合の概念から出発、最新の考え方を説明すると同時に、戦略と戦術をベースにして、全体像の把握から細かなテクニックまで、実際の臨床例によって説明したい。

Okklusion : R.Slavicek

基準点や線、面を設定して、修復の規格化により、不正を排除したい。顎位や形態、機能を診断する重要なツールを共通項として、保守的な器具とテクニックや概念も確実に学ぶと同時に ME 機器の知識も拡げたい。理論的な背景だけではなく、臨床での優位性についても述べるが、ここで余りに足踏みを続けると全体像を見失う危険性も含んでいる。

Case presentation

単に咀嚼器官としての機能だけではなく、ヒトの感性に対する審美性の追求は、極めて大切な要素である。それは機能時に、口唇や舌、表情筋と共に働き、発語や咀嚼、嚥下に大きな意味を持つ。歯周組織にも影響を与えるマージンや外形とともに、圧排、印象などの微細な技術も提示したい。又、付加的な要素だが、美や審美の概念、その歴史的な変遷について多少考えてみるのも決して無駄な事ではないだろう。